SONYの「WH-1000XM4」はノイズキャンセイリングヘッドホンの完成形と呼んでもいいレベルと言えるほどの性能と利便性を兼ねたモデルです。
音質はさることながら、ノイズキャンセリング性能も抜群。ワイヤレスヘッドホンとして満足のいく音楽体験を楽しむことができるでしょう。
個人的に特筆したいのは使い勝手がとても良い点。
直感的な動作でノイキャンの切り替えや音量調整ができる操作性。ヘッドホンを装着したまま会話ができる外部コミュニケーションを想定した機能性。さらには2台のデバイスとの同時接続ができる利便性。
日常的にWH-1000XM4を使い倒すうえでストレスを感じさせづらい設計がきちんと施されたワイヤレスヘッドホンとなっています。
というわけで本記事ではSONYの「WH-1000XM4」を1ヶ月以上使い倒してきたレビューを良い点悪い点のすべてをお伝えしていきます。
WH-1000XM4の特徴
WH-1000XM4はSONYの人気ワイヤレスヘッドホンシリーズの最新モデル。
2018年9月に登場したWH-1000XM3の後継機として、2年が経過した2020年9月に発売されました。
デザインは大きく変わっていないものの、アクティブノイズキャンセイリングやマイクの音質など性能面でのブラッシュアップと、いくつかの新機能が搭載しています。
WH-1000XM4での主な特徴を下記にざっくりまとめました。
- アクティブノイズキャンセリングの強化
→評価の高かったノイキャンがさらに優秀に - スピーク・トゥ・チャット機能の搭載
→ヘッドホンを付けたままでも会話ができる新機能 - クイックアテンションモード
→タッチセンサーに触れている間、会話が可能 - NCオプティマイザー搭載
→髪や眼鏡の有無、気圧環境などに合わせてノイキャンを最適化 - DSEE Extreme搭載
→音質をハイレゾ相当の高解像度音源にアップスケーリング - アクティブサウンドコントロール
→行動や場所と連動してノイキャン・外音取り込みを切り替え - 装着検出機能
→ヘッドホンの着脱を認識し自動で音楽を再生・停止 - マルチポイント接続
→2台のデバイスに同時接続ができる
それぞれ便利な機能もあれば、正直これは微妙…と言える特徴もあるので後述していきます。
WH-1000XM4の仕様と同梱品
WH-1000XM4の主な仕様は下記表の通り。
製品名 | WH-1000XM4 |
---|---|
メーカー | SONY |
型式 | オーバーヘッド |
ドライバーユニット | 40mm |
重量 | 254g |
充電時間 | 約3時間(1.5AのACアダプター使用時) |
充電端子 | USB-C |
連続音声再生時間 | 最大30時間(NCオフだと38時間) |
音声入力端子 | ステレオミニジャック |
通信方式 | Bluetooth Ver5.0 |
対応コーデック | SBC,AAC,LDAC |
コーデックはなぜかapt-xには本モデルから非対応となりました。
バッテリー持続時間は文句なし。充電し忘れがあっても数日使えるほどのポテンシャルとなっています。
本体以外の同梱品は下記になります。
- キャリングケース
- 航空機用プラグアダプター
- 充電用USBケーブル(A to C)
- 3.5mmヘッドホンジャック用ケーブル
- 取扱説明書
キャリングケースは頑丈な作りになっているので不安なく持ち歩きできます。
ヘッドホン本体だけでなく付属のケーブル等も収納できる余裕も。
航空機用のプラグアダプター、有線接続用のヘッドホンジャック用のケーブル(約1.2m)も同梱されています。
充電用のUSB-C to Aケーブルも同梱。電源プラグは別途必要です。
USBケーブルは20cmとWH-1000XM4のサイズ感を考えたら少々短い気はします。
WH-1000XM4の外観デザイン
WH-1000XM4のカラーバリエーションはブラックとプラチナシルバーの2色展開となっています。
今回レビューしているのはブラックです。
シックな印象とまではいかず、光沢感のないマットで柔和な質感は程よい高級感を感じさせます。すべすべな肌みたいな触り心地が気持ち良いです。
他メーカーのオーバーイヤーヘッドホンはガジェット感というか、無骨なモノが多いのですがWH-1000XM4は非常にシンプル。外出時にも装着していくことを考えるとファッションの一部としても取り入れやすいです。
あまりゴツゴツしているとキレイ目な服装をしているときは不格好ですからね。
L側のイヤーカップには「電源ボタン」と「CUSTOMボタン」が備わっています。
CUSTOMボタンはノイズキャンセリングの切り替えや音声アシストなど、1回押し2回押し、長押しでそれぞれ機能を自由に割り当てることのできるボタンです。
さらに付属の有線接続用のイヤホンジャックも配置されています。
R側には充電用のUSB-Cコネクタ。1.5AのACアダプターを使えば約3時間でフル充電が可能です。10分の充電で5時間の再生を可能とさせるクイック充電にも対応しているので、バッテリー周りの利便性は非常に高い。
イヤーカップは耳を覆うオーバーイヤー型なので大きめです。
耳のうえにかぶせるオンイヤー型だと耳が痛くなるのですが、耳を覆う形なので長時間使っていても痛みを伴うことはありません。
イヤーカップの外側はタッチセンサーコントロールパネルが搭載。
指でタップしたりスワイプのような動作をすることで特定の操作が実行できます。
動作 | 操作 |
ダブルタップ | 再生・一時停止/着信を受ける・切る |
指を前に滑らせる | 次の曲へ |
指を後ろに滑らせる | 前の曲へ |
指を上へ滑らせる | 音量を上げる |
指を下へ滑らせる | 音量を下げる |
操作感は非常に良く、直感的な動作で済むので扱いやすいです。
内側のクッションもウレタン製で程よい固さ。締め付け感も感じさせず一生装着していられるぐらい快適です。
難点をあげるなら、夏場に外で装着していると蒸れて暑いです。とても長時間つけていられません。これに関してはWH-1000XM4どうこうではなく、オーバーイヤー型ヘッドホンの宿命と言えますね。
左右どちらのイヤーカップも内側に折りたためるようになっていて、キャリングケースに収納することができます。
WH-1000XM4のノイズキャンセリング性能が優秀
WH-1000XM4の最大のセールスポイントが強力なノイズキャンセリング機能。
ウレタン製のイヤーパッドによる物理的な遮音性と、周囲のノイズをかき消す機能としてのアクティブノイズキャンセリングが組み合わさることで、静寂な環境をもたらしてくれます。
特に乗り物に乗ったときは本領を発揮します。
電車のガタンコトンという走行音、飛行機のエンジン音までもが8割程度の割合で消えます。サウンドを流しておけば、たとえ抵音量だったとしてもノイズが気になることはほぼありませんでした。
乗り物だけでなく、街を歩くときやカフェでの作業時にもノイズを乗り除いてストレートにサウンドを聴かせてくれるので快適です。
音楽を楽しむ以外にも、たとえば作業や勉強で集中したいときに、冷蔵庫や空気清浄機から発せられるノイズを完全に遮断する用途としても多大な活躍を果たしてくれます。
ノイズキャンセイリングの強度などはSONYの提供するスマホアプリ「Headphones」で調整可能。
アプリ側で設定をONにすれば、ユーザーの行動や場所を検出して自動調整してくれるアダプティブサウンドコントロールも活用できます。
それだけでなく、ヘッドホンを装着しているユーザーの髪やメガネの有無、周囲の気圧などからノイズキャンセリングを最適化するNCアプティマイザーも搭載。
快適なノイキャン環境を作るうえでWH-1000XM4は至高のヘッドホンと言えるでしょう。
WH-1000XM4の音質レビュー
WH-1000XM4の音質はさすがのクオリティです。
主にiPhone・Macbookとペアリングをしてロックやポップスを中心に視聴しています。
全体的にフラットなサウンドでバランス型。重厚感というよりはクリアで聴き疲れのしない心地よさで、SONYらしい音質といえます。
僕自身は低音に量を振ったドンシャリのほうが好みなので、イコライザー機能を使って低音を重視しています。もちろん中高音域、ボーカル重視に振り切った調整も可能です。
イコライザーを使ってもクオリティが低下することもなく、僕自身が好みである低音に振った重厚感のあるサウンドを楽しめています。
ベース音が心地よくて最高…!
WH-1000XM4の優れた機能・性能
WH-1000XM4ではイコライザー以外にも、数々の便利な機能が満載です。
機能によっては重宝しますし、逆になくてもいいものもあるので紹介します
外音取り込み機能
アクティブノイズキャンセリング搭載のWH-1000XM4には、もちろんヘッドホンを装着したまま外部の音を取り込む機能も搭載されています。
Headphonesアプリを使って外音取り込みのレベルも調整も可能です。調整機能に関しては他の製品でもあまり見られないので嬉しいですね。
肝心の外音取り込み機能の性能は「問題ない」レベルとなります。
ヘッドホンを装着したまま外の音を認識するという目的には問題なく使えますし、かなりハッキリ音を拾ってくれるので優秀と言えます。
しかし音を拾いすぎるからか、マイク越しで聞いている感は結構あります。とはいえ気になる人は取り込みレベルを調整することで軽減可能です。
普段AirPods proを使っているから感じることで、他製品と比べればトップレベルで優秀なので気にしすぎる心配は不要かなと思います。
いかにAirPods Proの外音取り込みがすごいのか分かります。笑
アクティブサウンドコントロール
アクティブサウンドコントロールはユーザーの行動や場所と連動し、事前に設定したノイズキャンセリング・外音取り込みに自動で切り替わる機能です。
最初に設定を済ませてしまえば、あとは設定したとおりに自動で切り替わるのでヘッドホンを触る必要もありません。
また、ペアリングしているスマホのGPS機能と連携して、よく訪れる場所にあわせてノイズキャンセリング・外音取り込みを切り替える設定もできます。
自宅以外にも会社への出勤時や、外に頻繁に持ち出すひとには重宝する機能と言えるかもしれません。
ちなみに僕は外に持ち出す機会は多いのですが、その場の気分で手動で切り替えたいタイプなのであまり使っていません。使うかどうかは人によって変わりそうです。
クイックアテンション
クイックアテンションはヘッドホンをつけたまま瞬時に周囲の音を聞く機能です。
具体的には右手でタッチセンサーコントロールパネルを触れると、触れている間だけ音量を絞って外音取り込み機能をONにすることができます。
急に話しかけられたときや、手動でノイキャンにするほどでもない短い会話をするときに便利です。
たしかに利便性は高そうな気がしますが、実際にそんなに使うシーンはないと感じました。
相手側から話しかけられた時点ではノイキャンがOFFなので一言目は聞き直すことになりますし、会話中に右手でずっとヘッドホンに触れるのも億劫です。
結局、話すときはヘッドホンを外して首にかけるスタイルが定着しています。
装着検出機能
ヘッドホンを外したときに音楽が一時停止、装着すると自動的に再生されるのが装着検出機能です。
首にかけているときでも、ちゃんと音楽を停止してくれるので重宝します。停止中はタッチセンサーも無効化されるので誤作動を起こすこともありません。
ヘッドホンを外して15分経過すれば自動で電源がOFFになるのでバッテリー消費の心配も不要。シンプルですが最も役に立つ機能です。
マルチポイント接続
Headphonesアプリ側で設定をONにすると、WH-1000XM4に2台のデバイスを同時にペアリングすることができます。
スマホを2台接続しておけば、一方で音楽を流しつつ両方のスマホから着信を受けて通話もできる状態にできます。
スマホとパソコンに接続しておけば、いちいち接続を切り替えることなく状況にあわせて音楽を再生できます。
一方でサウンドを再生しているときは、もう一方でサウンドを流しても聞こえないよ。
サウンドを聞きたいデバイスを変える場合は、使っていた一方のサウンドを停止すればOKです。毎回Bluetooth接続をし直す手間が解消されたのでストレスが軽減されました。
WH-1000XM4のイマイチな機能・性能
WH-1000XM4のイマイチな機能・性能についてレビューしていきます。
機能に関しては使わなければ済む話なのですが、一点立ち上がりの接続速度だけ引っかかります。それぞれ解説します。
スピーク・トゥ・チャット
音楽を聴いている最中でも、声を発すると音楽を一時停止し外音取り込みモードに切り替えてくれるのがスピーク・トゥ・チャットです。
前述していますが、誰かと会話するときは基本ヘッドホンを首にかけるスタイル。使う機会がありません。
それだけでなく厄介なのが、反応がめちゃくちゃ良い点です。
咳払いレベルでも音楽が一瞬停止してしまうので邪魔です。独り言や音楽にあわせて口ずさむことも封印されるので僕はOFFにしています。
DESS Extreme
DESS ExtremeはCDやストリーミングなどの圧縮音源をハイレゾ級の高音質にしてくれる機能です。LDACにも有線接続でもハイレゾレベルに引き上げてくれます。
ただ僕の耳では大きな違いは感じられませんでした。
DAPなどのハイレゾコンテンツなら違うかもしれませんが、少なくともスマホやパソコン越しで聴く分には大差ありません。
個人的な感想なので、人によっては違いに感動できるレベルなのかもしれません。
立ち上がりの接続速度
WH-1000XM4の電源を入れて自動ペアリングされてからの、音楽が視聴できるようになるまでの接続速度が結構遅いのが気になります。
WH-1000XM4には総合的にかなり大満足なのですが、唯一の不満を挙げるとすればこの1点のみです。
僕は普段iPhoneを使用しているので、デバイスによっては問題はない可能性もあります。
WH-1000XM4の電源を入れて「ペアリングしました」と反応してから、すぐにスマホ側で音楽を再生するとスピーカーから流れてしまうことが何度かありました。
スマホの音量がマックスのままで、電車のなかでキャッピキャピなアニソンを流してしまったら結構な事故になるので気をつけましょう。
電源を入れてから音楽を再生できるまでの待機時間は数秒ではあるのですが、ちょっと間を開けなきゃいけないのは少々煩わしいです。
こればかりはiPhoneとAirPods Proのシームレスな接続速度に慣れてしまったがゆえの弊害だと感じています。
Apple製品同士の接続と比較しちゃってるから、その差は当然といえば当然だけどね。
WH-1000XM4レビューまとめ:最高品質のヘッドホン
「WH-1000XM4レビュー|ノイズキャンセリングヘッドホンの完成形」と題してレビューしていきました。
さすがSONYと言うべきか。前評判通りハイクオリティな製品でした。
完全ワイヤレスイヤホンばかり使う僕ですが、これを機にヘッドホンに目覚めてしまいそうです。
それでは、ユトリ(@yutori0727)でした。
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